こっちむいて、なんて

（浜←泉←田　で田島メイン）

「いーずみっ」
後ろから抱きつくと「うぜぇ」と言われただけでそれ以上のアクションがない。ぎゅー、と思いっきり体重を泉にかける。「田島、おめーなにしたいわけ」なんてその冷たい声が聞きたかったんだよ、とふ、と思う。あぁ、おれいつの間にこんなにマゾっ子みたいになっちゃったんだろう。そんな馬鹿なことを考えていると泉がもう一度「だーから、なにがしたいんだよ！」と疲れた声で聞いてくるけど、答えない。振り払おうと思えば振り払えるはずなのにこちらを背中の上に乗っけたままの泉は、一体今何を考えているんだろう。
―あの人の、ことかな。
「ねぇ、泉ー」
名前を呼ぶとあぁ？と生返事。その声を、あの人との会話の時と比べるなんて、ね。自分の考えが悔しくて泉の背中で「俺のこと、好きだよな！」と叫んでやった。泉は「はぁ？」と迷惑そうな顔をした後「嫌いじゃないかもな」と少しだけ笑った。

悔しい、と思った。
泉はいつもこんな言葉に対してそんな風に返さない。
あの人に対してはなんて言ってる？「ばーか」とか「死ね」とか。
言われたいわけじゃないけど―・・・だけそその言葉は照れ隠しだって分かる言葉だから。

「泉、俺マジで泉のことが好きだよ」
もう一度、言葉を落とす。泉は「お前さー何言ってんの」と笑いながらこちらを背中から落とした。

こっちなんて見てくれないこと、知ってる。
だけど、


それなのにしあわせで、どうしようかとおもった。


＊
お題：capriccio様　『それなのにしあわせで、どうしようかとおもってた』

・・・あ、微妙に間違えた。
実は田泉にもきゅんきゅんしてますっていう。泉の片想いの相手はたぶん浜田なんですけど。
浜田が好き、って言った時と田島が好きって言った時の反応の違いみたいなのが書きたかったんです。
泉が照れ隠しで「ばーか」とかいう相手はたぶん浜田だけです。という。

まぁ結局はハマイズが大好きってことなんですけどね。
めずらしく短時間で二作連投。